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PROFILE

氏名:中村 航

福岡大学 理学部 物理科学科 助教

E-mail: nakamurako(アットマーク)fukuoka-u.ac.jp

NEWS

OMEG16に参加して口頭発表を行いました(10月25-28日)

SuperVirtual 2022に参加してポスター発表を行いました(11月7-11日)

初代星・初代銀河研究会2022に参加して招待講演を行いました(11月10-11日)

第35回理論懇シンポジウムに参加してポスター発表を行いました(12月21-23日)

CfCAユーザーズミーティングに参加してポスター発表を行いました(1月26-27日)

SUPERNOVA!!

超新星爆発 - それは星が長い一生の最期に起こす大爆発のことです。望遠鏡および付随する技術の発展によって、現在では年間数百もの超新星が様々な波長の光で観測されています。これにより、超新星は重い(しかしおそらくある特定の質量域の)星の爆発であること、爆発時に多量の重元素が生成・放出されることが明らかになりました。しかし、光で見ることができる領域は、光が散乱を受けない低密度の表面付近に限られます。爆発を引き起こす中心エンジンは、星の厚い外層に遮られて通常の望遠鏡では見えません。中心の情報を得るには、より透過性の高いニュートリノや重力波による観測が必要です。Hyper-KamiokandeやKAGRAに代表される次世代大型検出器によって、超新星の爆発メカニズムに迫ることができるのではないかと期待されています。

右図:1987年2月23日に大マゼラン雲で発見された超新星 SN 1987A。爆発前の1984年の画像と比較している。
(c) アングロ・オーストラリア天文台 (撮影者 David Malin)

RESEARCH

超新星爆発の数値流体計算および超新星爆発にともなう元素合成を研究しています。計算には主に国立天文台 天文シミュレーションプロジェクトが運用している並列スーパーコンピューターシステム Cray XC 30 を使用しています。

右図:スカラ型並列計算機 Cray XC 30(通称アテルイ)。25440コアを内蔵し理論ピーク性能は1058TFlops。世界のスーパーコンピューターランキングTop500で85位(2015年6月)。
(c) 国立天文台天文シミュレーションプロジェクト

主なトピックは以下の通りです。

・超新星爆発の数値計算 - 1次元長時間計算

・超新星爆発の数値計算 - 2次元多モデル計算 詳細

超新星は中心コアの重力崩壊で始まり、原始中性子星の形成、ニュートリノの生成・拡散、衝撃波の停滞・復活を経て爆発すると考えられています。この過程で起こる対流など非球対称な流体の運動を、計算空間を1次元から2次元に拡張することによって捉えることができるようになります。もちろん容易な計算ではありませんが、適切な数値計算手法と近似、および高性能の数値計算機を使うことによって、実に約400個の親星に対して一連の過程を追う計算を実現しました。その結果、親星の質量が大きいほど衝撃波の勢いや爆発のエネルギーも大きくなるわけではなく、コンパクトネスと呼ばれるパラメータ(ξ = M/R)が良い指標になることがわかりました。

右図:約400モデル計算のうち、太陽組成をもつ親星48モデルの計算結果。質量順に並んでいるが、発達の様子が様々であることがわかる。
(オンマウスで動きます)

関連論文:KN et al. PASJ (2015) "Systematic Features of Axisymmetric Neutrino-driven Core-collapse Supernova Models in Multiple Progenitors"

・超新星爆発の数値計算 - 3次元回転計算 詳細

地球や太陽が自転しているように、超新星になるような重い星も自転しています。もし重力崩壊を起こす直前のコアがある程度以上の速さで回転していれば、その後のダイナミクス(衝撃波の発展、爆発の勢い・形状)に影響すると考えられます。しかし、星の中心コアがどの程度の速さで回転しているかは直接観測することができず、よくわかっていません。そこで、15太陽質量の星に回転を与えて重力崩壊させたところ、その様相は無回転の場合と大きく異なることがわかりました。また、与える回転速度と爆発のエネルギーの間に相関があることもわかりました。

右図:回転する超新星コアの3次元計算の1例。衝撃波面が非球対称に膨張し、とくに赤道面(回転軸と垂直な面)によく発達する様子がわかる。
(オンマウスで動きます)

関連論文:KN et al. ApJ (2014) "Impacts of Rotation on Three-dimensional Hydrodynamics of Core-collapse Supernovae"

・超新星からの電磁波・ニュートリノ・重力波信号の系統的研究

・元素合成(alpha-process, r-process, neutrino-process, spallation process)

現在、空間2次元での長時間計算、大規模数値計算で得たニュートリノ・重力波データのマルチメッセンジャー天文学への応用や、元素合成計算の銀河化学進化モデルへの適用を視野に研究を進めています。

Constructed on 10 Oct. 2010. --- Last updated on 21 February 2023