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 Biophysics Lab.

研究概要RESEARCH

生命活動に重要な役割を担うタンパク質は、ナノメートルオーダーの大きさを持つ高性能な分子機械です。細胞内の多くのタンパク質は、構造変化に伴って機能を発現します。またあるものは自己組織化して大きな構造体である超分子を形成することで、より高度な機能を発揮します。当研究室では、主に高速原子間力顕微鏡を用いて、タンパク質やその集合体の構造やダイナミクスを明らかにし、生体分子が集合して高次構造を形成するメカニズムや機能発現機構の解明を目指しています。大きく2つのテーマを並行して研究を行っています。

タンパク質超分子複合体の形成機構・動作機構の解明

高速AFMを用いて、タンパク質超分子複合体の形成機構および機能発現機構の解明を目指しています。

原子間力顕微鏡(AFM)の開発研究

生体分子の機能発現に関する新規現象の発見を目指して、高速AFM装置の高速化・高精度化や新しいタイプのAFMの開発を行っています。

生体超分子の形成機構および動作機構の解明

生体超分子のナノ構造ダイナミクスイメージング

高速原子間力顕微鏡を用いて、生体超分子の振る舞いを直接観察する研究に取り組んでいます。原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope: AFM)とは、ナノメートルの先端曲率半径をもつ小さな針先で試料表面をなぞり、その時に試料と針先と相互作用によって生じるカンチレバーの応答をもとに探針-試料間距離を制御することで、試料表面形状を観察することのできる装置です。


(図)原子間力顕微鏡(AFM)による生体膜の観察。
大きさ約1μメートルの生体膜中に存在するタンパク質を1分子レベルで観察することができる。左図では、タンパク質が生体膜中で二次元結晶を形成している。

 
高速原子間力顕微鏡(高速AFM)は、走査速度を飛躍的に向上させたタイプのAFMです。この装置の登場によって、生体分子のナノ構造のみならず、その動的な振る舞いをも同時に観察することができるようになりました。

(ビデオ) AFM(左)と高速AFM(右)の画像取得スピードの違い


現在の主な研究テーマ

チラコイド膜中における光合成膜タンパク質高次構造ダイナミクスの解析
チラコイドに内在する光合成膜タンパク質の1分子構造解析

光合成膜タンパク質を可溶化することなく、本来居る場所であるチラコイド膜に内在する状態で構造とダイナミクスの解析を行っています。AFMは個々のタンパク質分子のありのままの姿を直接観察できることが大きな強みです。光合成を担うタンパク質が膜の中でどのような複合体構造を形成しているのか、ダイナミクスなどの分子状態と環境変化に対する光合成システムの応答との関連はどのようになっているのか、解明に取り組んでいます。

高速AFMの開発研究

高速原子間力顕微鏡の高性能化に関する研究

高速AFMは、生体分子の動的な振る舞いを直接的に可視化できる装置として、すでに確立されつつあります。しかし、まだ高速化できる余地が残されています。そして、AFMの測定法自体も未開拓の領域が残されています。当研究室では、装置の改良や新しい方法論の開発により、これまで観察不可能だったものを見ることを目指しています。それにより、生体分子の機能発現に関する新規現象の発見につながると期待されます。



原子間力顕微鏡(AFM)の模式図。カンチレバー先端に取り付けられた針で試料表面をなぞり、その際にはたらく力をレーザー光を用いて検知する。力が一定となるようにPID回路が動作し、試料をz方向に動かす。


現在の主な研究テーマ

新規AFM測定法の開発

当研究室で開発した開発を進めているAFM測定法です。タンパク質測定に広く用いられるAFM測定法と比較して、試料に働く力を大幅に低減させることができます。AFM測定に対して脆弱なタンパク質に有効性が高いことをを実証済みです。現在はさまざまな生体試料への応用と、さらなる機能性の向上を進めています。
 
 

主な装置


・高速原子間力顕微鏡
・高速冷却遠心機
・卓上遠心機
・紫外可視分光光度計
・周波数特性分析器(FRA)


連絡先

〒814-0180
福岡市城南区七隈8-19-1
福岡大学理学部物理科学科
生物物理研究室(山本研)
山本大輔
e-mail: